#sauceDEVmeeting2017

自転車ロードレースの実業団登録チーム「SAUCE DEVELOPMENT」が活動を始めてから3シーズン目を終えました。

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チームメイトは全国散らばっているため、約20名の選手やスタッフが一同に集まる機会がありません。選手によっては未だ会ったことのないチームメイトがいることもあります。そういう経緯もあって、メンバーから「一度皆で集まる機会を作りたい」というリクエストのもと今回のチームミーティングが実現しました。日程の選定と調整、集合場所の選定、移動費、ライドや食事の段取りなど、簡単ではないのですが全てチームのメンバーがうまく分担して進めてくれました。僕は特にお手伝いできてたわけじゃないので感謝あるのみ!

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チームミーティング

今回のミーティングは、メンバーで集まってライドに行き、そのあと銭湯に入りつつ居酒屋で交流を深めるというような流れでした。こうやって文に書き出してみると違和感を感じる人もいるかも知れません。普通のチームなら、メンバーで集まってライドに行くことも、居酒屋で酒を呑み交わすことも当たり前に行われているんですよね。

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それでも僕らは #sauceDEVmeeting2017 というハッシュタグを作りながらSNSにその様子を発信してみたりと、その濃密で短い1日を存分に楽しみました。

“普通のチーム”は地元の集まりだったり、日常的に交流があるところから生まれていくチームが多いかと思います。元々練習仲間であったり、休みが同じだったり、時間の共有が可能なメンバーで成り立っているところは多いと思います。

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SAUCE DEVELOPMENTはというと大阪を拠点にしながら、岡山、愛知、兵庫、大分、神奈川、広島、埼玉と選手は多方面に散らばっています。全てではないものの、インターネットを介して繋がったメンバーが多く、新しいチームの形であるとも思っています。メリットを語る以上に、競技者としてのデメリットも多く存在しています。定期的なチーム練習があるわけではないこと、移動も相乗りがしにくいことなど活動がしやすいとは素直に言うことはできません。その部分は各選手の裁量によってなんとか成り立っている部分です。

だからこそ今回のチームミーティングというのは僕らにとって貴重な機会であり、遠距離恋愛をしている恋人と久しぶりにデートするような少し特別な日であったと実感しています。

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チームの価値

実業団のレースはチームでの活動を必要としながらも、根本的な部分は”個人の勝負”という要素が非常に強いものです。なので強力な”個”の前では、凡人が寄ってたかったところで勝つことは難しいという現実があります。

というのはあくまで競技のリザルトの話。強い選手を目指すことはどのチームでも出来ることなので僕らはSAUCE DEVELOPMENTの選手には結果を強要せず、各自のモチベーションに任せています。

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「すごい個人」という存在は才能のある人間を引っ張ってくるだけで完結します。しかし、「すごい団体(チーム)」というのはそう簡単にはできるものではないと僕は思っています。団体競技を経験したことのある人なら理解しやすいかも知れませんが、協調性はまず必要であるし、目標やモチベーションの高さが違い過ぎても温度差が生まれます。

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僕らが目指すのは”かっこいいチーム”。自転車のことを知らない人から見ても「カッコいい」と言ってもらえるようなチーム。それが具体的にどういう形だとは明言が難しい問題ですが、各選手の人間性はやっぱり大事だと思います。更に高い所で評価を得るには他のアマチュアチームが出来ていない領域で統一感を出すことは必要なのだと感じています。

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デザインがバラバラのウェアで走っている集団はただの集まりにしか見えないですが、同じウェアでバシっと揃ったグループが走っていれば、自転車を知らない街行く人たちは「プロ選手かな?」と錯覚することもあるでしょう。本で読みましたが、”高いレベルで動きなどが揃ってくると、何か起こってるのかな?と気にかかる人が出てくる”といいます。シンクロ率の高さは何も知らない人をも惹きつける何かがあります。シンクロナイズドスイミングなんかは分かりやすい例だと思います。

シンクロナイズドスイミングではピタッと同じ動きを求められますが、サッカーや野球、自転車はそういったわけではありません。でも競技の中身を知っている人ならば、選手同士の連携の具合に”スゲー!”と心を打たれることがあるでしょう。そこで才能のある人間と僕ら凡才が対決するとなった場合にはどうでしょう。1対1になってしまったらやっぱり負けてしまう。でも、チームで協力したら何か勝つ方法はあるのではないか?相手がサッカーで世界トップ選手のクリスティアーノ・ロナウドであったとしても、彼が一人だけなら11人で挑めばさすがにこちらに分がある。卑怯ともいえますが。笑

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それでも今の実業団のレースは1人で戦うことも、5人で戦うこともどちらも良しとされているので自由です。チームで戦って良いならチームで戦った方が有利だと思ったりするんです。チームで戦うのは決して簡単なことではないので多くの人ができていないのですが。

簡単に言葉にするのなら”プロのような雰囲気を持ったチーム”を目指しています。プロチームはカッコいいし、プロ選手自身がそもそもカッコいい。プロチームから感じるカッコいい部分はパリっと揃った雰囲気が分かりやすい。個人としては礼儀正しかったり、自信を感じさせる立ち振る舞いであったり、そういったところもプロ選手たちは高いレベルにあるなと思います。

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僕が目指すところ

強い選手を引っ張ってきたらゲームの攻略は簡単なんです。自分がチームの監督となってリーグ優勝を目指さなければいけなくなったのなら、一番の正攻法がそれです。

僕はサッカーをやってきたのでずっと集団競技でした。そこで見てきたものは個人の力量によってなんとか成り立っているチームと、チームとして機能してそれぞれが最高のパフォーマンスを発揮しているチームとがありました。前者に身体ポテンシャルの低い人間が入る余地はありませんが、後者は何かしらの方法で活躍の場面が与えられるものがありました。多くの人はその後者の経験がないからイメージすることができないかも知れません。

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僕が好きなのは1人ではできないことを団体の力で実現することでしょうか。へたっぴでも活躍させる方法があることを小学生の時に友達が実践してくれたことが始まりでした。小学生の僕は運動が嫌いではなくてもできるタイプではなかったです。50m走では9秒や10秒という鈍足具合で。バスケをやるときに普通なら使い物にならない僕ですが、その友人は僕の活用方を見出してくれました。シンプルにゴール下でゴールを入れる役を与えてくれただけでしたが、僕はゴールを入れる練習に専念すればよかったので分かりやすく上達も早かった(当社比)と感じました。それがパスやドリブルも加わっていたとすれば難しかったと思いますが、できることをひとつ覚えればそれが活躍のきっかけになることが嬉しかったです。何よりも僕自身をそういった形で起用することを考え、実践したその友人は今でも憧れの存在です。

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彼ほどの事はできないかも知れませんが、僕にとってはそれがルーツとなり「チーム」というものに対して常に希望を抱いています。企業に置き換えてもその辺りのスタンスは一緒かも知れませんね。僕はチームのメンバーには同じようにチームとしての価値を感じてもらいたいし、それを皆の力でもっと良いものに高めていきたいと思わせてもらっています。

そして僕個人の力ではなく、ホリさんがいて、ジャージのデザインやwebサイトを構築してくれたADさんがいて、そして主役となる選手たちがいて、それをサポート頂ける企業さんがいて今のSAUCE DEVELOPMENTが成り立っています。その選手たちはチームに所属する以前から魅力がある人たちばかりで応援してくれる方々もたくさんいます。

更に来年はやる気のあるU23カテゴリーの若い選手も加わり、新しいドラマも見せてくれそうです。来年のシーズンが楽しみだ。