自転車の修理をたくさんする仕事をしているので、モノをケアしながら大事に使っている人と、使いっぱなしの人に遭遇する。壊れたら買い換える人、明らかに動きがおかしくても極限までメンテナンスをしない人、違和感を感じればすぐにメンテナンスする人などなど、スタンスは別れる。
ふと、どのスタンスが正解なのだろうと思った。
いわゆるSDGs的な思想であれば、モノは大切に長く使用した方が余計なゴミも発生せず、環境不可は小さいのではないかと。
でも実際のところ、日本国内だけでみても「修理」に対してお金の動きは小さい。修理業だけでは、かかる手間に対してもらえるお金は明らかに少ない。というか、修理やメンテナンスというのは新品を用意するよりも手間がかかることも多いのだが、「修理のために新品が買える費用がかかるなら、新品買った方がいいじゃん」というのは店側もユーザー側もまず思うことだと思う。
車でも、完結に一言で言うと”古い車は燃費が悪い”ので、税金は高めに設定されている。何年も、十数年とメンテナンスをしてきたからこそ長く走れているのに、かかる税金は上がっていく一方だ。モノを大切にしているのに、なんとも納得のいきにくいものだと思う。
対してエコカー減税といった、最新の好燃費の車に対しては色々と助成が活用されている。使用する石油、ガソリンを減らすことを目的としているので、まあ理解はできる。でも、新しい車を作るために使用する燃料や輸送、加工などの環境負荷はどれほどなのだろうか?正直全然わからない。
頭の良い人たちが推し進めていることなので恐らくそちらの方が”総合的に”良いのだろうと思う。それは先ほど述べたように、修理ではお金が生まれないからというのが大きなポイントだろう。
新しいモノを作るということは、たくさんの仕事が生まれる。それは良いことだと思う。
モノを大切にすることは経済にも環境にも貢献が薄いのだとしたら、モノを大切にする価値ってなんだろう?ただの物好き?古くなっていくモノは個人の趣味として楽しむためだけのモノ?