8 YEARS

キャリーバッグ1つとバイク1台を担いで大阪へやってきたのが2011年6月5日。そこから8年が経った。家の契約などもせず、店の奥に住みながら今の店で働き始めた。

23歳だった自分も31歳、三十路。慣れない関西弁の地で異なる文化を持った人たちに囲まれながらも、人情のある人たちのおかげでなんとかやってこれたように思う。

8年間で得たものや学んだことはどれだけあるだろう。多くはない。けど少なくもないかな、というところ。

週5、6のペースで仕事をしながら休みはレースの遠征やライドに充ててきた日々。仕事のあとにはトレーニングやグループライドも色々とやった。自転車以外のことに充てた時間は他の人に比べるとすごく少ないだろう。当然、自転車のこと意外となると無知で素人なことばかりだ。逆に自転車関係のことであればかなり色々と経験してきたように思う。かなりマニアなスポーツサイクル店、修行のためにママチャリ系のお店でも働いていたこともある。自転車メディアでレース取材の仕事を行なったり、レビュー記事を書いてみたり。撮影、執筆、整備、販売、どれもやりがいのあることばかりだった。もちろん「レース」という世界でやっていけたら理想だったが、自分は”手に職”という思考で自転車屋という仕事を選んだ。色々な個性のあるお客さんと直接やりとりができることが楽しい。もちろん大変な面もあるが。

自分が思い描いた30歳にはなれてはいないが、自分が意識しなくても自然と「自分はもう30代の人間である」と若い世代の子らと接していると実感させられる。それに応えなければならない気がして、大人になろうと変化が始まっているところかもしれない。

今までは受け取る側、助けてもらったり、周りから何かをしてもらうことの比重が多かった。それを下の世代に還元しよう、したいなと微力ながら思う。自分が経験として持っていることは可能な限り伝えていこうという試み。その内容が合っているかはわからない。それでも、下の世代(若い人、自転車初心者など)に何かを伝えていくことで下の世代の成長を少しでも手助けできればいいなと思う。

30代でどれだけのことが出来たかでその後の30年の放物線が変わってくるのだろう。三十路の時間は長くない。あっという間に過ぎていく時間を有意義に過ごしたい。