僕の #MOVEMENT10TH

休日、植木市を眺めに緑地公園へ出かけた日のこと。偶然にも同じ日、緑地公園でピクニックしていた10days bicycle storeのサイトウ君と偶然にも遭遇し、漫画トークで盛り上がり、じゃあそろそろ退散しますと言ってからしばらく話が続くという笑える感じの足踏みトーク。そこで、映画化もされている「キングダム」という作品をオススメしてもらった。盛り上がってるのを眺めつつ、実はちゃんと見てなかった作品なのでちゃんと見ることにした。まずはNETFLIXから。(なんとか配信されている分は全部観た!)

それは戦争孤児である主人公の”信”が、争いの絶えぬ戦国の中で、小さな足がかりを逃さず、成長し、武功をあげて”天下の大将軍”を目指すストーリーである。超ザックリな説明だけど、お暇な方は是非読むか観てみてください。

とにかく「ウオー!」とか「負けねぇー!」とか「俺は天下の大将軍になる!!」みたいな少年漫画あるあるな根性強めな作品なんだけど、30代になってもそれは嫌いではないなと思う。そしてなんとな〜く昔の自分を振り返ってみたりして。自分が10年前に大阪へ乗り込んで来た時は、天下の大将軍までとは言わずとも、将軍や〇人将みたいな立ち位置の存在になりたいという野心を持っていたことを思い出した。(←自転車業界における将とは?)

ともかく、僕は複数店舗を構える大きな自転車店で働くという選択を捨て、個人店、しかもほとんど知り合いもいない、馴染みもない大阪へ行ってチャレンジすることを選んだ。安定した稼ぎよりも、(苦労や大変なことも含めて)楽しめそうであることが輝いて見えていた。

個人店で働くということの厳しさの中に、後ろ盾がないというところがある。自分の人生自体がそんなもんという感覚もあったので、攻めるのみというか前進あるのみという精神がある。とにかく歩み続けることが大切だと信じている。
大きな企業のような後ろ盾はないが、全てが自分次第というところは実戦経験が多く積めるという良さがあった。

層が厚い集団において、自分が実戦を経験できる機会は少なくなる。スポーツも同じで、出場人数ギリギリのチームに入れば毎回試合に出ることができるし、二軍三軍があるようなチームでは球拾いしかさせてもらえないような話と同じかな。
学生の時にサッカーをやっていた時の経験から感じたことは、練習量が必ずしも実戦へと結びつくわけではないということだった。実戦をこなすことが実戦で強くなるための最短ルートだと感じた。

「大人になる」ということは「社会に出る」ということで、「社会に出る」ということは「責任のある仕事をする」ということだろう。責任とはなんぞやと考えれば、お店の場合は売り上げが立つことも立たないことも自分の責任であるし、お客さんを満足させられることや不満を買ってしまうことも自分の裁量で決まってしまうということ。学生とは違い「こうすれば良い」という模範解答のない手探りの戦いが行われているのが「社会人の仕事」なのだと思う。またそれぞれが見る面によって正解が異なるのが、この世の中の難しいところだろう。決断を間違えば穴へ落ちたり避難も浴びる。その中で決断する覚悟のある者が何かを動かし、またそれが認められなければ脱落していく。戦国時代も今も変わらず、人は戦っている。

自転車屋

長いようで短い10数年、自転車関係の仕事をして思ったことは、こんなにもバリエーション豊かで楽しい仕事は他になかなか無いだろうということ。

外から見れば、ゆるゆるやってるように見えるかも知れないが、実際に足を踏み入れてみれば簡単な仕事ではないことはわかって貰えると思う。
セールス(販売・営業)ができなければモノが売れない。売るためには知識や経験も必要だし、車体などを整備をするための理解力や想像力、技術といった、自転車にとっての医者のような性質も求められる。1番難しいのは、やっぱり「正解がお客さんの数だけある」ということかも知れない。
はたまた売れる商品を仕入れるためには目利きが必要で、タイミングというのもかなり重要なこと。どれぐらい仕入れるか、いつまでに売り切るかというような経理経営の部分も自分たちで考えなければいけない。欲を言えば、今売っているものが数年後や数十年後にどう自分たちへ返ってくるのかということも想像して働きたい。

大きな企業であれば役割分担が生まれるのだけど、小さな個人店はそれらを自分の手でこなさなければならないというのが難しいところであり、全ての裁量が自分たちにあることが楽しいものでもある。(難しければ難しいほど楽しいと感じるのは、歳のせいだろうか?)

そしてこの10年の中でも、同じく自転車屋や業界内で働いていた戦友(勝手にそう思ってる)が去っていくのを目の当たりにしたのは少なくはない。それぞれ理由は異なるのだろうが、やはり「普通に働く」ことが簡単ではないのだと思う。国内、国外問わず、去っていった人はどこか未練を感じさせるものがあって、”リタイア”と言う人もいる。普通の転職だったら新しい仕事に目を輝かせていそうなもんだけど、そういう姿はあまり見かけない。多分だけど、自転車屋や自転車関係の仕事は、やり甲斐も含めてとにかく楽しいからなのだろうと思う。

僕自身も今まで何度も諦めようかと思うことはあったけれど、まだまだヤル気の炎が消える気配はない。というよりも、常に変化の中を生きるこの仕事は面白さ(=難しさ)しかないから、飽きるようなこともない。
だから、まだしばらく自転車屋という仕事は続く予定である。戦友の皆さん、僕がどこまでやっていくのか見守っててください。天下の大将軍とはいかないかも知れないけど、”大阪に高橋在り!”ぐらいの存在にはなれたらいいな。